「 書籍感想 」一覧

専門家が信頼されなくなった理由-「信頼の条件 原発事故をめぐることば」感想

信頼の条件

興味深い新書としてWebで紹介されていたため、手に取ってみました。
この本は、原発事故後に多くの専門家が放った言葉を検証し、問題点を明らかにしながら、専門家の信頼が地に落ちた理由とその対策を述べています。ザックリ言うと、専門家の発言へのダメ出し本という感じでしょうか。本書後半に書かれている、信頼やコミュニケーションの概念も興味深いです。

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努力は報われる-「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」感想

僕はミドリムシで世界を救う

2012年12月の株式上場以降、驚異的な株価上昇をみせ、話題をさらった株式会社ユーグレナ。今回手に取った本は、その会社の社長である出雲充氏が書いた自らの軌跡でした。東大発バイオベンチャーと聞けば、どうせストレート勝ちでしょ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、(株)ユーグレナの成功の裏には、ミドリムシの大量培養技術の確立や、ライブドアショックによる取引先の消失、地を這うような地道な営業など、多くの危機から這い上がったあきらめないハートと良い仲間との出会いがありました。

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本気とは確信と希望である-「市民科学者として生きる」感想

市民科学者として生きる

原発・放射能問題に取り組む団体へ寄付を行っているところとして、NPO法人高木仁三郎市民科学基金を時々目にします。高木仁三郎とは、かつては原子力の研究に携わっていましたが、色々な矛盾を経験するにつれて、市民の目線にたった活動を行うようになり、ついには大学を飛び出して原子力資料情報室をたったひとりで作った方です。

私はこれまで、「市民科学者」という言葉さえも知りませんでしたが、その意味や著者である高木仁三郎という人物に興味をひかれ、本書を手に取りました。本には、市民科学者の定義は明記されていませんでしたが、著者の人生を通して、市民科学者とは何かという問いへのひとつの答えをみることができます。原子力の研究に携わり将来安泰とされていた著者が、生涯にわたって反原発を志すようになった原動力は、何かに反対したいという欲求ではなく、よりよく生きたいという希望でした。

それでは以下に、気になった箇所と私の考えを述べていきます。

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失われつつある耕作技能-「日本農業への正しい絶望法」感想

日本農業への正しい絶望法

ユニークなタイトルが気になり、遅ればせながら手にとってみました。
今後日本の農業が生き残っていくためには耕作技能を高める必要がある点、マスコミや識者がつくる農業ブームは大衆迎合的な幻想である点、JAの矛盾をしてきしている点、そして筆者が農業の問題点を指摘する一方で解決をあきらめているという一種の自虐的な考えは興味深く読めました。

一方で、「日本農業」と冠してはいますが、本州での稲作や畑作について述べている部分が多いです。そのため、北海道の郊外型大規模農業に関わる私にとっては、兼業農家の問題や、農地を宅地に転用する問題など、筆者が指摘する農業問題への実感が沸きにくい部分もありました。これについては、日本の農業政策自体が、本州の稲作を中心に行われてきた側面もあるのかもしれません。

それでは以下に、気になった箇所と私の考えを述べていきます。

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対立より対話を-「みんなで決めた「安心」のかたち」感想

みんなで決めた安心のかたち

舞台となる千葉県柏市は、2011年の原発事故で「ホットスポット」となり、これまで地産地消を応援してくれた消費者も去ってしまいました。そんななか、心ある生産者・消費者・流通者・測定者が集まり、お互いの立場を尊重して意見をすり合わせながら、放射性セシウムの独自基準をつくり、自ら生産したものを自ら測定し販売するプロジェクト「My農家を作ろう」が始動します。

この本には、原発事故により壊れてしまった消費者とのつながりを、試行錯誤しながら結びなおし、さらに新たな価値をつくりあげていく記録が書かれています。そのカギは、立場の異なる人が、顔をつきあわせながら難度も議論し、少しずつ信頼関係をつくりあげたところにあるといえます。「My農家を作ろう」は、いち消費者としてはもちろん、放射能問題に悩む他の地域の参考になるばかりではなく、すぐそこまで迫っているTPPへの対策としても有効な示唆が含まれていると感じました。

それでは、以下に、文章を引用しながら感想を述べていきます。

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