ブラック企業にブラック士業アリ!-「ブラック企業ビジネス」感想

最近、「パワハラ 訴訟」や「パワハラ 訴える」で検索して当ブログを訪れる方が多くなってきました。ブラック企業が若者を使い潰す社会問題となっている今、そういった企業に問題意識を持ったり、立ち向かう方が増えてきたともとらえられれ、良い傾向です。しかし、訴訟を相談する相手を間違うと、さらなるトラブルになってしまいますのでご注意を!

そこで今回は、ブラック企業問題に詳しい今野晴貴さんの新書「ブラック企業ビジネス」の内容を紹介いたします。

ブラック企業ビジネス
ブラック企業は会社だけではありません。なんと、今は、士業もブラック化しています。

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ブラック企業はブラック士業とつながっている

会社内の社員に対して、圧力をかける企業は、お金と弁護士の力を借りて批判的意見をも封殺する。ブラック企業には、こうした構図があるように思われる。
(p70)

相手を圧迫・威圧することで違法行為を押し通すことができるのであれば、「弁護士がついている」「弁護士から書面を出す」といった行為は、まさに心理的に相手を追いつめる格好の手段となる。
(p55)

著者は、ワタミやユニクロの弁護士から受けた脅しの手口も詳細に紹介しており、興味深く読ませていただきました。実名報道している「力の強いメディア」には無反応で、著者のような力の弱い個人に対してだけ脅しの手紙を送りつけるなど。これはまさに、パワハラと同じ手口ではないでしょうか。なんて思いながら読み進めると、ヤッパリ、これらの企業のパワハラ事例も、今回は具体的な社名付きで紹介されていました。

外部の人間に平気で脅しを行う企業は、内部の人間には(それ以上の)圧力をかけている場合もある。このような推測はあながち間違いではない事が、著者の経験や取材からも明らかになっています。

そのような圧力は、最終的に顧客サービスの質の低下につながります。私も、いち消費者として、安物買いの銭失いにならないように気をつけないと><

ブラック企業に加担するブラック士業の手口

ブラック企業とやりあう時は、裏にブラック士業がついている可能性を考え、くれぐれも不当な脅しに屈しないように!

 ブラック企業側に立つ弁護士・社労士が法律を捻じ曲げる方法は、主に3つある。第一に、「脅し」である。これは弁護士・社労士といった専門家の権威を悪用した手法だ。第二は、訴訟・係争費用で相手を怖気づかせる手法である。第三は、法制度を意図的に「誤用(濫用)」し、当事者を混乱させ、紛争を無限に拡散させていく方法である。
(p41)

 ブラック企業側に立つ社労士としては、こうした手続を行う「メリット」を経営者に売り込むことで報酬を得る。トラブルになれば、またその場に介入して、相談料や対応料などの報酬を得る。経営者に違法行為をさせることで、労働者側があきらめようと、争ってこようと、結局は自分に利益が入る仕組みになっているのだ。
(p67)

さすがブラック士業。「がっ○りマンデー」のネタにさえなりそうな儲かる仕組みが作りこまれています。もし、ブラック士業による脅しや混乱が「ビジネスの手口」である事を知らない方は、あまりの迫力に怖気づいてしまうのではないでしょうか。そう思うくらい、本書に掲載されている具体的な事例は悪質です。ブラック士業の手口を知るためにも、是非本書を手にとってみてくださいね! 

私は、本書でこの具体例を知った事で、もし将来、こういう方々と争う事になっても、屈しなくても良いんだ、ちゃんと自分の主張を訴えていく手段があるんだ、という事を改めて学びました。

しかし、面白い事に、ブラック士業は必ずしも「経営者の味方」とは限りません。本書には、ブラック士業を信用して倒産に追い込まれた会社も紹介されています。このことから、ブラック士業は決して、「思想」や「立場」で行動しているわけではなく、あくまで「ビジネス」で行動していることが分かります。しかし、その結果、上客であるブラック企業の論理を社会に認めさせて、法律や制度を歪ませた結果、社会全体の生産性を損なわせてしまう悪害があると、著者は指摘しています(p158-165)。

私は別の記事でパワハラ訴訟 勝訴・処分・和解事例をまとめていますが、敗訴した事例の背景には、もしかしたらブラック士業が関与していたかもしれませんね。

じゃあ、どうしたらブラック士業を避けることができるの?ということですが、労使トラブルを相談する際は、イキナリ士業の門をたたくのではなく、労働相談に強い団体を通して相談してください。弁護士サイトを安易に信用するのは危険です。本書ではそういったサイトの収益構造や登録弁護士の問題点にまで踏み込んで解説しています。

ブラック企業は社会問題である

 実は、ブラック企業問題とは、ただの違法企業の問題ではなく、「若者を使い潰す」という新しい問題なのである。
(p192)

 新規新卒が使い潰されるということになれば、日本を担うべき若者が技術を磨けずに、大量に鬱病に罹患し、むしろ社会の負担になってしまう。税収が減り、医療費が増え、その上少子化の温床にもなろう。(略)新卒の使い潰しは社会が根本から崩れ落ちていくという意味で、「国家的問題」なのである。だから、厚生労働省や政府も対策を講じざるを得なかったというわけだ。
(p194)

私も、当ブログでよく「ブラック」という表現を使いますが、本来は、企業が若者を使い潰す社会問題です。ブラック企業の定義が曖昧になってしまうと、「ブラック企業と批評することは、ある種のいじめではないか」という意見が出るなど、本来問題提起したい部分とは異なる面にスポットが当たり、焦点がぼやけてしまいます。これは私も、ブラック企業を疑問視するいちブロガーとして気をつけていきます。

「戦略的思考」を持て

 労使関係が変容し、企業への信頼を基礎にした企業社会統合が変質したことで、これを支えてきた教育も、そして家族も変化を求められている。これまでの仕組みを前提とした「善意」は、結果としてより多くの不幸を招いてしまいかねないのだ。
(p215・強調は著者による)

 私は個々人が「戦略的」に生きることの先に、社会の制度やシステムを再構築することが必要だと思う。それは、新しいルールや社会組織が整備され、もう一度人々の信頼関係が復活するような社会だ。
(p216)

 個々人は学校も企業も、そして士業も信用できないとすればどうすればよいのか。単純に言って、弁護士も学校も、よく見定めることが大事になる。
(中略)
 また、家族の役割もよくよく見直していく必要がある。学校や正社員雇用をただ信用し、教育投資をすればよいのではない。今、家族は個人としての子供(若者)をどのように支えていくのかが、問われている。
(p221)

 今、私たちは思考を転換しなければならない。そして、新しい社会の仕組みづくりに動き出さなければならない。日本が民主主義社会である以上、その使命は私たち一人一人の手に委ねられている。
(p228・強調は著者による)

非常に重要な指摘ですので、多めに引用させていただきました。

著者は、以前の書籍「ブラック企業」でも、戦略的思考が大切であると述べています。これは私も完全に同意します。私の実体験でも、不正を良しとする会社では、正攻法は通じません。戦うためには、本当に「戦略」が必要となってきます。

先日2013年12月も、2014年度の就職活動がスタートしましたが、報道記事等を読む限り、正社員雇用神話は相当厚いと感じます。一方で、就職活動が解禁される前からグレーな方法で学生に接触していた企業があったり、募集要項と実際の内容が違う企業もあると見聞きしています。そのため、就活生は、内定GETを喜ぶだけではなく、入社した会社がもしブラックだったらどうするかという戦略を、リスク管理の面からも身につけていただきたいと、私は思います。

haniwaのヒトコト

この内容を、私が就活する前に知っていれば…>< いえいえ、後悔しても何にもなりません。私は私で、ブラックな会社の実態を、反面教師のお役に立てばという思いで、今後もお伝えしていきます。

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