成功の秘訣はサプライズ-「くまモンの秘密」感想

くまモンの秘密

テレビ番組でくまモンが特集されていたので気になり本書を手に取りました。
くまモンといえば、ここ数年で大ブレイクしたゆるキャラです。数あるゆるキャラのなかから、何故くまモンがヒットしているのか、その秘密を探ります。
また、本書は、ビジネス成功ノウハウではなく、くまモンそのもの歴史や活動が主になっています。そのため、くまモンマニアにとっては充実していますが、ゆるキャラビジネスの成功の秘密を探りたい!というビジネスマンにとっては若干物足りないかもしれません。

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くまモンは、くまのモンスターではない

くまモンという名前は、「熊本者(くまもともの)」から来ています。「熊本者」は、「熊本人」と言ったほうが分かりよいでしょうか。(中略)「者」を熊本では「モン」と発音しますから、「熊本者」は「くまもとンモン」になります。これを縮めてくまモン。
(p92)

済みません、てっきり私もくまのモンスター、モンハンのモンと同じ意味だと思っていました^^; 熊本の発音が由来だったのですね!
ちなみに、くまモンは、「くまもとサプライズ」のロゴマークについていたオマケだったのです。

戦略と発想

なぜ県庁ではなく動植物園をくまモン隊の出発式の場所に選んだか。それは、私たちが最初からくまモンを子どもたちから愛される存在にしたいと思ったからにほかなりません。
(p191)

くまモンが、昨今のゆるキャラブームに乗っただけの軽いノリで生まれたのではない事は、この文章から伝わってきます。本書に書かれているイベントでもそうですが、目的やターゲットがハッキリしているんですよね。キャラクターありきではなく戦略ありきという視点も成功の一因になっています。

 思いのほかよかったことは、くまモンは見た目が何かと特に関連づいたりしていないため、どんな集まりにも出ていけたことです。例えば他のゆるキャラには、「○○のキャラ」という属性があります。だからこそ、それが個性や特徴になっているのですが、それが逆に「○○のキャラがこんなところにいるのはおかしい」ということにもなってしまいます。
(p19-193)

なるほど。極端な例ですが、もし外見が酒やタバコをモチーフにしていたら、子どものイベントには出にくかったでしょうね^^; 何かと関連付ける事は強みにもなりますが、逆に弱みにもなります。まず戦略ありきという考えが無いと、こういう所にも気付けなかったでしょう。

大きな方針は「迷ったらGO!」。そこで自己規制してこなかったからこそ、今のくまモンがあり、今後のさらなる進化につながるのだと思います。(中略)「公務員だからそれはできません」とお断りしてしまうのではなく、こちらからも提案とお願いをして、熊本の名産品であるデコポンという果実のPRをしているような形になるよう
(p216)

これは発想の転換ですね。公務員は特定の企業に肩入れはできませんが、お互いウィンウィンの関係になれるよう歩み寄ったからこそ生まれた発想です。
民間企業に勤めている私も、「公務員だから~できないだろう」という認識は改めなければなりませんね^^;

くまモン成功の秘訣

1.ターゲットを明確にする
2.TPOに合ったメディア戦略
3.SNSの最大限の活用
4.くまモンの爽快な動き・表現の豊かさ
5.くまモンを活用したPR・広報へのトップの理解と支援
6.くまモンに役職を与え偉い人とも対等に話せるようにする
7.くまモンの商品利用料を無料にする
8.末永く愛されるために持続可能な仕組みづくりをする
9.組織の枠にとらわれず連携する
10.リスクを恐れず挑戦する
11.他の人を楽しませるためにまず自分たちで楽しむ
12.原点が熊本にあることを忘れない
(p223-237・6から12はhaniwaによる要約)

こうしてまとめてみると、緻密な戦略(1-8)とポジティブな情熱(9-12)があることが分かります。
しかし、最初から人気キャラクターを作ろうという考えがあったわけではありません。順番としては、戦略→キャラクター→キャラの最大限活用になります。そのため偶然の要素がまったく無かったわけではありませんが、その偶然を活かせるだけの素地、つまりくまモンに関わる方々のポジティブな情熱も成功の大きな要素になっていることは間違いありません。

haniwaのヒトコト

くまモンの活動には色々なサプライズがちりばめられています。私も実生活でもっとサプライズを仕込んでみたくなりました♪ 5月は五月病など何かとネガティブになりがちですが、ポジティブになれる本です。

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