北海道が誇る浦河町の左官職人、野田左官店の野田肇介さんの多大なるお力添えのお陰で、約1世紀前に建てられた物置の土壁を再利用できました!
ご先祖さまが入植した当時に建てたと思われる、約100年前の物置です。
この”ご意見箱”は、近所の不審者の存在などを当時の警察に文章で伝えたのだそうです!
電話が発達していない時代ならではの仕組みですね。
土壁の再生は、2019年7月、物置の土壁を剥がすところからスタートしました♪
土壁が比較的キレイに残っている箇所を探し、手作業で剥がしていきます。今も現役で使っているトイレ周りの土壁は、衛生上使わないことに(笑)。
畑作業で忙しい夫に代わり、義父が土壁剥がし&粉砕に参加!
義父が若い頃は、この建物を積極的に使っており、愛着もひとしおだったのでしょうか、最初から最後まで、途切れること無くず~っと作業に関わってくれました。
剥がした土壁を、げんのうで叩いて砕き、ふるいにかけます。
これが、結構な肉体仕事! 暑いなか、黙々と作業を進めていきます。当時2歳の娘も、小さなげんのうでほんの少しだけ参加させてもらいました^^
この土壁は、義父曰く、近くの川から採集したと思われる土と藁で作ったのでは、とのこと。
身近な素材を使った地域の環境になじむ建物での暮らしは、残念ながら今ではなかなか出来ません。昔の当たり前が今の贅沢になってしまっていることは残念に思いますが、だからこそ、私たちで出来ることや残せることを、皆さまのお力をお借りして、少しずつ地道に行っていきたいですね^^
細かくした土と藁に、他の原料を野田さん独自の配合で混ぜて、我が家の壁のモトが出来上がります♪
野田さんに塗っていただく我が家の壁は、リビングの薪ストーブ裏と畳コーナー、寝室の3箇所です。たくさんの試作品のなかから好みの壁を選ぶのですが、どの壁も魅力的で、なかなか決められません^^;
そんな私たちに、土壁サンプルの制作由来や、左官仕事の魅力を情熱的に語ってくださった野田さん。
野田さんが我が家の壁に込めてくださった想いを伺い知ることで、アツい職人魂に敬意を払う意味でも、野田さんの推し壁に決めました!
この間、土壁サンプルを何度もはるばる持って来てくださった野田さんには、この場で改めてお礼をお伝えいたします。
塗壁の仕様を決めた後、野田さんが塗ってくださいます。
ローラーなどの今風な道具は使わず、コテと盛板の伝統的な道具で塗っていきます。想いだけではなく、仕事ぶりも純左官! もちろん、天井の塗りもコテ一筋^^ 野田さんはサッサッと塗っていきますが、天井をコテで美しく塗っていくのは、とても難しいですよ! まず首と腕が悲鳴をあげます;; 野田さんの腕をよ~く見ると、意外と!?ムキムキです(笑)。
寝室の壁は、野田さんや、家づくりに携わってくれた皆さまと一緒に、最後の仕上げ磨きをするワークショップに♪
まずは、あらかじめ塗っておいた下地の上に、野田さんが炭を混ぜた漆喰を塗っていきます。
(写真ご提供:Hibino Kantaさん)
次に、皆で軍手を履いて、黒漆喰を磨いていきます。こうすることでツヤが出ます♪
(写真ご提供:Hibino Kantaさん)
娘たちは当時2歳と0歳という幼さでしたが、皆さまに助けられながら何とか作業できました♪ ワークショップから1年以上経った今でも、娘たちは当時の動画を見ては「ここ私塗ったの~」と得意気に話しています^^ 家族の思い出のひとときとなり、我が家にいらしたお客さまにも好評です!
乾くと、下地の茶色と黒漆喰の黒が芸術的に混ざり合った、味わい深い表情になりました。
(写真ご提供:Hibino Kantaさん)
以下、野田さんに塗っていただいた壁です!
1.寝室
ワークショップで皆さまに磨いていただいた壁は、このようになりました。まるでホテルの一室のようで、渋カッコ良いですね~!
2.リビング
(写真ご提供:Hibino Kantaさん)
薪ストーブ左の縦ラインは、土が乾燥するにつれて自然に出来るクラックがアクセントになっています。畑が雪に埋まる冬でも畑の土を感じられる、私たちの暮らしや仕事に寄り添ってくださったデザインです。
3.畳コーナー
野田さんの土壁サンプルのなかから、藁がほどよく見える作品をチョイス。まるで和紙のような趣のある風合いになりました。
野田さん、皆さん、100年の時をつなげたロマンあふれる素敵な壁を有り難うございます^^